行政書士・社会保険労務士の創業支援コンサルタント伊関のブログ
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本来の「休業補償」の意味
ただ、マスコミが使う休業補償という言葉と本来の法律上の休業補償の意味と乖離がある場合が多々あります。
もちろん あの意味で言ってるんだよなぁと想像はつきますが、注意しないと思いこみでは大けがをすることがあるので意味を理解しておくことが必要です。
よく新聞やネットでは、
コロナの件で会社の業績が悪化してが休業した場合の社員への休業補償はどうするのか?
国から会社への休業補償はどうなっているのか?
こんな言葉を最近毎日見かけます。
で、法律上の休業補償と言う言葉は、労働基準法76条で
労働者が法75条(療養補償)の規定による療養のため、労働することができない場合においては、
使用者は 労働者の療養中、平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。
と規定しています。
労災保険は、適用される事業所では、業務上の傷病により休業する場合には、休業補償給付が支給され使用者は休業補償の責を免れるが、休業の3日間は待機期間として休業補償給付は支給されない。その3日間に関しては、使用者は法76条に基づいて休業補償を行わなければならない。
つまり、業務上の災害の時、
最初の3日間は、労働基準法の休業補償がなされ 4日目以降は労災保険が適用されるという制度です。
通常 休業補償とは こういう場合に労働基準法で使う言葉です。
で、よく 新聞やネットで目にする
「コロナの件で会社の業績が悪化して休業した場合の社員への休業補償はどうするのか?」という言葉は、正確には、休業手当の話をしているのです。
休業手当とは、労働基準法26条で
使用者はの責に帰すべき事由における休業の場合においては、使用者は、休業期間中その労働者に、その平均賃金の100分60以上の手当を支払わなければならない。
としています。
つまり、会社の業績悪化等の理由(つまり会社都合)で社員に休業を命じた場合は、この休業手当を払えという趣旨のものです。
ですので、業務上の社員のケガによる休業補償の話と会社の業績悪化による社員の休業手当の話とが混在してしまってるのです。
そしてて、さらに、
「国から会社への休業補償はどうなっているのか?」
という文章も、いいたいことはよくわかりますが、休業補償という法律上の熟語が既にあるので
同じ土俵で会話する場合は、休業補償とということばはあまりふさわしくないとおもうのです。
国から会社への助成や給付はどうなっているのか?
とか
国から会社への休業要請に対する補償はどうなっているのか?
と言うようにあえて紛らわしい熟語を避けたほうがいいように思うのです。